
健康診断は、安心して暮らすための年1回の習慣
海外生活は、体調の変化に気づきにくくなります。日本では毎年の健診が当たり前ですが、ハノイに来てから受けていないという人は多いでしょう。しかし異国の環境ではむしろ、定期的なチェックが欠かせません。健診の最大の価値は、自覚症状が現れる前に異変を察知できることです。血液の数値や心電図、画像検査の変化を毎年比べることで、体の小さな異変を早めに発見できます。血糖値や肝機能の緩やかな悪化を見逃さず、生活改善や早期治療につなげる。それが健診の予防的な力です。
ハノイの食生活は、油脂や香辛料の強い料理、屋台やストリートフードなど、胃腸に負担をかけやすい条件が揃っています。さらに、言葉や文化の違い、不規則な生活リズムといった海外特有のストレスも消化機能を乱す要因です。胃もたれや便通異常を、疲れや慣れのせいと放置しがちですが、背後に病気が潜むこともあります。特に注目すべきはピロリ菌感染です。ベトナムでは感染率が高く、研究によっては人口の50〜70%が保菌しているとされます。慢性胃炎、胃潰瘍、さらには胃がんの原因ともなるため、早期に確認しておく意義は大きいでしょう。そのためには、ピロリ菌抗体検査をはじめ、消化管を直接確認できる胃カメラ・大腸カメラ検査をおすすめいたします。
加えて、ハノイの生活で見逃せないのが呼吸器への負担です。大気汚染によるPM2.5などの微小粒子は肺に深く入り込み、喘息や慢性気管支炎を悪化させ、長期的には肺がんのリスクを高めます。実際、長引く咳に悩む人は少なくありませんが、その背景には大気汚染による慢性気道炎症があると考えられます。胸部X線は基本的な検査として有効ですが、喫煙者やがん家系の方におすすめしたいのが胸部CT検査が含まれている健診です。CTでは小さな病変などもとらえられ、肺がんや慢性疾患の早期発見につながります。在住期間が長くなるほど、こうした見えない変化を定期的に確認する意味は増していきます。
なんとなく疲れやすい、胃が重い、咳が続く。こうした小さなサインが、実は進行する病気の前触れかもしれません。年に一度の健診で自分を総点検し、変化を記録しておくことが安心して暮らすための最大の備えです。海外生活に安心を添えるために、ぜひ健診を生活習慣に取り入れてください。

Point

健診の最大の価値は、自覚症状が出る前に体の変化を察知できること。数値の経年比較が早期発見につながる

ハノイの食生活や生活環境は消化器に負担をかけやすく、ピロリ菌感染率も高いため、内視鏡検査を取り入れた健診が有効

大気汚染による慢性咳嗽など呼吸器リスクに備え、胸部CT検査を組み合わせた健診で見えない変化を確認することが重要
Info

Japan Green Vietnam Clinic
ジャパン グリーン ベトナム クリニック
小林 慧悟 医師
呼吸器、アレルギー、感染症、総合内科の日本専門医機構認定の各専門医資格を保有。北海道大卒後、虎の門病院で研修、慶應義塾大学助教を経て医学博士を取得。シンガポール国立がんセンターでの勤務後にベトナム医師免許を取得し、現在に至る。

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