在ベトナム歴10年。ハノイのIT企業にマネージャーとして赴任後、週刊誌のライター、現地スイミングスクールの代表を経て、現在はアニメーションスタジオのマネージャーを務めている日比靖昌さんが、ダナンで見つけたアレコレについて語ります。
FB: ひび やすまさ

ベトナムで感じる日本のソフトパワー
ベトナム人と話をしていて、「日本」と聞くと、すぐに出てくる「モノ」があります。日本食、アダルトビデオ、そしてアニメーションの3つです。これらは︑私たち日本人が思っている以上に、非常に強力なソフトパワーのようです。ここ数年間、アニメーションの受託制作の仕事をしているのですが、ベトナムではアニメーションが大人気であることを日々の仕事の中でも強く感じています。
一昨年、将来さらにアニメーターが必要になることを見据えて、ダナンの6つの大学でオープンセミナーを開催しました。FPT大学、ダナン建築大学、ヅイタン大学など、ダナンでも優秀な学生が通う大学で行いました。セミナー会場は名以上が座れる大きな教室でしたが、どの大学でも会場は満席でした。質疑応答でも多くの学生が積極的に質問をしてくれて、これほど多くの学生がアニメーションの仕事に興味を持っていることに、大変驚きましたし、ベトナムの若い世代のエネルギーもあらためて実感しました。

ベトナム人アニメーターの可能性
アニメーションの制作方法は、AIの加速度的な進化により、手描きから生成AIへとシフトしつつあります。絵を何枚描いていくら稼ぐ、という受託作業は、あと2年ほどで消滅してしまうのではないかと考えています。そのため私たちのチームでは、自主制作のショートビデオを作り始めました。ベトナム人アニメーターが、日本のアニメーション制作で培ったクリエイティビティを活かして作品を作るプロジェクトです。
最初の作品として、ダナンとホイアンを紹介するビデオを企画しています。シナリオは日本人である私が書いてみたのですが、あるアニメーターからこう言われました。「ひびさん、それはよくある観光案内ですよ。せっかくアニメーションで表現するのだから、おとぎ話やファンタジーをもっと取り入れるべきです。」
そのおとぎ話とは、16世紀にホイアンに造られた 「日本橋」にまつわるものです。昔からアジアには、超巨大なナマズのような怪物が存在していて、その怪物が身震いするたびに、日本には地震が、ベトナムには洪水や大雨がもたらされるという言い伝えがありました。そこで当時の人々は、その怪物の背中の急所に「重石」として橋を架けることにしました。それが日本橋です。橋の柱が怪物の急所を貫く「剣」の役割を果たし、暴れないよう封印したというのです。
私たちのチームは、日本とベトナムの両方に関係するこのおとぎ話にとても魅了されました。これこそ、アニメーション映像として表現すべき題材だと考えています。現在、鋭意制作中です。どうぞお楽しみに。





