
ベトナムには、それぞれ異なる魅力を持つ島々が点在しています。本特集では、北部のコトー(Co To)島と南部のタインアン(Thanh An)島を訪れ、それぞれの個性に触れます。透き通る海と豊かな自然が残るコトー島では、美しいビーチや穏やかな時間を満喫できます。一方、ホーチミン市近郊に位置するタインアン島では、海とともに暮らす人々の日常や、素朴で温かな漁村の風景に出会えます。同じ海に囲まれた島でありながら、その表情は大きく異なり、コトー島では絶景が観光客を魅了し、タインアン島では昔ながらの暮らしが今も息づいています。この二つの島を通して、ベトナムの海辺に広がる多彩な魅力と、その土地ならではの物語を紹介します。
ハノイから始まる離島旅コトー島への道のり




ハノイからコトー島へは、リムジンバスと高速船を利用するのが一般的です。まずハノイ市内からクアンニン(Quang Ninh)省ヴァンドン(Van Don)特別区のアオティエン(Ao Tien)港までリムジンバスで移動します。所要時間は約3〜4時間で、料金は片道20万〜30万VND程度。多くの会社が送迎サービスを行っているため、比較的スムーズに港までアクセスできます。
アオティエン港からは高速船に乗り換えコトー島へ向かいます。マインクアン(Manh Quang)の高速船を利用し、往復運賃は70万VND。航行時間は約90分で、船内は快適に整備されています。
高速船は1日に複数便運航されていますが、出航時間は季節や天候によって変更される場合があります。そのため、事前に船の時刻を確認し、予約しておくことをおすすめします。特にリムジンバスと高速船を別々に手配する場合は、港への到着時間と出航時間に余裕を持たせることが大切です。あらかじめスケジュールを調整しておけば、乗り継ぎもスムーズで安心して移動できます。
朝にハノイを出発すると、昼過ぎにはコトー島へ到着できます。近年は交通環境の整備が進み、ベトナム北部を代表する離島リゾートとして多くの観光客が訪れています。



コトー島で出会う、青い海と緑の風景
青く澄んだ海、どこまでも続く海岸線、そして豊かな緑。コトー島には、都会では出会えない穏やかな風景が広がっています。手つかずの自然と美しい海が織りなす、島ならではの絶景を巡ります。







コトー島には透明度が高く、美しい海が広がっています。さらに、場所によって異なる表情を見せる海岸線も大きな魅力です。島内には数多くのビーチが点在し、それぞれ異なる景色を楽しめます。なかでもヴォムシー(Vom Si)ビーチは、美しい岩場が広がる絶景スポットとして人気を集めています。オープンカフェでは、木製の机と椅子、心地よいクッションが用意され、のんびりとした時間を過ごせます。ココナッツジュースを片手に眺める海辺の風景は格別です。
マリンアクティビティを楽しむならホンヴァン(Hong Van)ビーチがおすすめです。サーフィンやバナナボート、パラセーリングなどが充実し、多くの観光客で賑わいます。その先に位置するブンティエン(Vung Tien)ビーチは静けさに包まれた隠れた名所です。豊かな自然が残り、朝日を眺めたり写真撮影を楽しんだりする人の姿が見られます。
夕暮れ時にはティンイエウ(Tinh Yeu)ビーチへ。穏やかな海と沈みゆく夕日が織りなす景色は、コトー島を代表する美しい瞬間の一つです。
島内の移動も旅の楽しみになります。道路は整備が行き届き、沿道には緑豊かな木々や畑が広がります。各スポットは比較的近く、バイクをレンタルすれば自由に巡ることができます。自然に囲まれた道を走りながら、自分だけのお気に入りの風景を探すのもコトー島ならではの楽しみです。
島を彩る灯り、コトー島で過ごす特別な夜
絶景を楽しむだけでなく、食や街歩きもコトー島の大きな魅力です。昼と夜で異なる表情を見せる島の風景を満喫できるコトー島の旅の楽しみ方を紹介します。
美しい海を満喫した後は、島の夜を楽しみます。中心部には歩行者天国や広場があり、夕方から夜にかけて多くの人で賑わいます。写真撮影を楽しめる屋外フォトブースや、気軽に立ち寄れる屋台グルメなども充実しており、散策しながら島の雰囲気をさらに味わえます。新鮮なシーフードを提供するレストランも多く、海の幸を堪能できます。夜には海辺で、波の音を聞きながらゆったりと過ごすのもおすすめです。昼間とは異なる穏やかな表情を見せるコトー島の夜は、旅の思い出をより特別なものにしてくれます。









島内にはさまざまな宿泊施設がありますが、今回滞在したホームステイは可愛らしいデザインで移動しやすい好立地にあります。部屋は2名の利用にちょうどよい広さで、清潔感のある空間が快適な滞在をサポートします。ビーチや飲食店へのアクセスも良く、観光にうってつけです。宿泊料金は1室あたり140万〜160万VND程度(曜日により変動)。リラックスした時間を過ごしたい観光客におすすめです。
ホーチミン市から約2時間で行ける漁師たちが暮らす島
ホーチミン市から日帰りで訪れることもできるタンイアン島。穏やかな海と漁村の風景が広がるこの島では、都会では味わえないゆったりとした時間が流れています。素朴な自然と島ならではの暮らしに触れる旅へ出かけてみましょう。



ホーチミン市中心部から約70kmの場所にあるタインアン島は、カンザー(Can Gio)郡沖に浮かぶ小さな島です。市内から車やバイクで約1時間30分の距離にありながら、都会の喧騒とはまったく異なる、穏やかな漁村の風景が広がっています。
島へは、フインタンファット(Huynh Tan Phat)通りを進み、ビンカイン(Binh Khanh)フェリーでカンザーへ渡ります。バイクの料金は1台1万1000VNDほどです。その後、ルンサック(Rung Sac)通りを約30分走るとタインアン(Thanh An)船乗り場に到着。船に乗り換え、1人2万VNDで約30〜40分ほどの短い船旅を楽しんでいるうちに島へ到着します。移動中には、マングローブ林や広大な河口の景色が次々と現れ、道中も旅を楽しむことができます。
タインアン島にはリゾートホテルや大型の観光施設はありません。その代わり、昔ながらの漁村の風景が今も大切に守られています。海沿いを歩けば、漁船が並ぶ穏やかな港、地元の人々が行き交う素朴な街並みに出会えます。観光地として華やかさではなく、自然とともに暮らす島の日常を感じられることこそ、この島ならではの魅力です。
日帰りでも十分に楽しめますが、ゆっくりと島を歩きながら、都会では味わえない静かな時間を1泊2日で過ごしてみるのもおすすめです。
タインアン島の海穏やかな時間が流れる島
豊かなマングローブ林と穏やかな漁村の風景が広がるタインアン島では、自然とともに生きる人々の暮らしに出会えます。都会では味わえない静かな時間が、ここには流れています。


タインアン島の魅力は、美しい海はもちろんのこと、カンザー・マングローブ生物圏保護区に位置するこの島では、豊かな自然と人々の暮らしが調和しながら受け継がれています。島を囲む広大なマングローブ林は、防風・防潮林として海岸を守るだけでなく、多様な生態系を育む貴重な存在です。
タインアン島が今も素朴な景色を残している理由の一つは、ユネスコ世界生物圏保護区に登録されたカンザー保護林の一部であることです。自然環境を守るため、大規模なリゾートや観光施設の開発は厳しく制限されており、昔ながらの漁村の風景や穏やかな暮らしが今も変わらず残されています。
海沿いに続く堤防道路は、島を代表する散策スポットです。漁船が行き交う穏やかな海を眺めながら歩けば、心地よい潮風が吹き抜け、都会の喧騒を忘れさせてくれます。道の先々には素朴な港や静かな集落が点在し、島の日常を身近に感じられるのも魅力です。
夕暮れ時には、海と空がゆっくりとオレンジ色に染まり、静かな島に幻想的な風景が広がります。ホーチミン市中心部からわずか数時間とは思えないほど穏やかな時間が流れるタインアン島は、自然の美しさをゆっくりと味わいたい人にぴったりの離島です。
タインアン島で暮らす漁師たちの生活
海とともに生きる人々の姿は、タインアン島ならではの風景の一つです。漁業や養殖業を営みながら、豊かな自然と共存する暮らしが今も受け継がれています。



タインアン島では、海は美しい景色であると同時に、人々の暮らしを支える大切な存在でもあります。島の住民は何世代にもわたり、漁業や養殖業を営みながら生活を続けてきました。夜明け前になると、漁船が次々と港を出港し、一日の漁へと向かいます。
早朝の港は、水揚げされた魚介類の取引で活気に包まれます。エビやカニなど、新鮮な海の恵みはそのまま周辺の市場や飲食店へと出荷されていきます。ここでは今日も、海のリズムに合わせた人々の暮らしが営まれています。
漁業に加え、カキやハマグリなどの養殖を営む家庭も少なくありません。都市部のような便利さはありませんが、島の人々は助け合いながら、素朴で温かな暮らしを大切にしています。
タインアン島の特別な魅力は、有名な建築物やにぎやかなアクティビティにあるのではなく、海とともに日々を生きる人々の暮らしそのものにあります。そこには、過度に開発された観光地ではなかなか出会うことのできない、素朴で飾らない美しさが息づいています。
