ベトナムで暮らしてみたい! 現地採用や移住について
この冊子を手に取っている皆さんの中には、今この瞬間、何らかの形でベトナムに滞在している方もいるでしょう。私自身もハノイのアパートでこの記事を書いています。そして渡航の理由は人それぞれでです。私と同じような出張者だったり、他には長期在住者や旅行者の方。中には、ベトナムへの移住や、長期滞在を考えているという方もいらっしゃるかもしれません。もしベトナム移住となると、仕事が無ければ困りますよね。私の周りにも現地採用で仕事を見つけ、完全に移住したという方がいます。 では、現地採用で仕事をして、ベトナムに移住するのは実際にどうなのでしょうか。 「ベトナムにハマった!」「活気があふれていて可能性を感じる!」「ベトナムの彼氏彼女ができた!」なんて言うとき、ネットなどでは気軽に移住をオススメする動画や記事がありますが、少し落ち着いて考えてみて下さい。「ベトナム語がペラペラで通訳レベル」、あるいは「ネイティブの配偶者がいる」といった特殊なケースを除いて、ベトナムで生活をスタートさせるのは簡単なことではありません。移住をオススメしているのは、むしろそのような特殊な方というケースもよくあります。ベトナム語がペラペラでは無い普通の人、つまり私が現地採用に踏み切る時に感じた内容を含め、実際どうなのかをお伝えします。
現地での生活費
日本からお金を持ってくる場合は、今の円安の時期、持ってきたお金はどうしても目減りしてしまいます。3年ほど前なら1万円は2.000.000VNDかそれ以上だったのに対して、2023年2月時点でのレートは1万円が1.770.000VNDです。良かったときのレートで、1万円あたりで1.000円以上も損をする計算です。10万円あたりで1万円、100万なら10万円、目減りします。 現地のローカルフードは(虫がご飯に止まったりする衛生状態を気にしなければ)安くておいしいです。毎日の食事、生活用品もベトナムの物だけで済ませる。家賃も低く抑えるために300USD台の物件を探して、切り詰めれば、月あたり10万円以下で生活ができるかもしれませんが、それは生活レベルを現地に合わせた場合ということになります。日本での便利な生活に慣れていると、私のようなおじさんは、レンジも洗濯機もちゃんとあって、虫が出てこない程度に綺麗なアパートに住みたいですし、日本食もちょいちょい食べたくなります。日本食をベトナムで食べるとだいたい1000円ぐらいにはなります。1ヶ月毎日だとそれだけで3万円を使ってしまいます。家賃はどうしても500USDは超えてきます。電気代は夏場の暑さに負けてエアコンをつけまくると5000円を軽く超えます。おっさんは我が儘で困りますね(苦笑)。
現地での収入、現地採用
出費が抑えられないなら、収入でなんとかしたいですが、皆さんが十分な貯金があって、当座は自己資金で滞在できるという 場合は大丈夫ですが、そうではない場合、 ベトナムでの仕事を確保してから渡航となります。日本の会社に就職して、ベトナムに滞在できる仕事というのはコロナ後、リモート作業が一般的になった現在は可能性が下がっていますので、現地で働く、つまり現地採用も視野に入れることになります。その場合は、やはり日本よりも収入が少なくなります。
また、最近の日本のニュースでは、円安なので海外に行って普通に働けば一気に年収も上がって楽に生活ができると言う話をよく聞きますが、正直疑問です。コンビニのバイト生活と比較するのなら別ですが、日本で会社員として働いていた場合、ベトナムでワークパーミットを取得して、とても高い所得税を払って、社会保険なども引かれると、日本にいた時よりも収入は下がるのが大半です。ベトナム現地採用での給与は、他のベトナムの職員と比べられるので、日本人というだけで特別とはいきません。現地の人たちより高い給料になるのは、日本人として、その職場で必須とされる何かに対して支払われるので、 ただ漠然と「ベトナムに来れば日本人なのでそれなりの給与をもらえて、生活コストの低いベトナムなら楽に暮らせる」と考えていると、現実とのギャップに苦しむことになります。また、一度渡航したらそこで人生を全うしたいと考えている場合は問題になりませんが、将来的に日本に帰る選択肢がある場合は、日本より賃金の安いベトナムで、日本に帰ったときのための貯蓄をする必要があります。「現地で事業を興して大成功を収める」と言う計画があれば別ですが、「普通に働いて日本に持って帰る十分なお金を貯める」というのは正直かなりハードルが高いです。それができるのであれば、ベトナムの皆さんが日本に働きに来ることはありません。
年をとれば家族もいたり、老後に入っている親の心配、生活レベルもそれなりで無いと辛くなったりするので、十分な貯金と、他人には無い特別な何かを持って、それに対して高い対価を要求するか、若くて後背の憂いも無いうちに、とにかく可能性にかけて現地で死ぬほど頑張る覚悟で渡航というのが現実的です。つまり、ベトナムの雰囲気を楽しみたいだけなら、いつでも日本に帰られる旅行が一番楽ということになります。
少し夢に水をかけるようなお話をしてしまいましたが、現地採用としてIT企業で働く一個人の正直な気持ちです。でも実際に、私の周りには現地で働く日本人の方々もたくさんいます。やってできないことではありませんし、皆さんそれぞれにベトナムでの刺激的な生活をエンジョイされています。ただし、ほぼ全員が今お話しした様な生活レベルを下げる我慢や人とは違う何かのスキルまたは情熱をもって、日本にいるときより忙しい生活を送っている、と言うことも頭の片隅にとどめておいていただきたいです。
旅行でも、長期滞在でも、ベトナムで生活するなら、ほんの少しでもベトナム語が話せると、いろんなトラブルの時に助かったり、ネイティブとのふれあいを楽しんだり、職場にいるベトナムネイティブとの信頼関係が深まったり、ベトナムでの経験がより深く楽しくなる事間違い無しです。ベトナム語に少しでも興味がある方、もしくは一度チャレンジしてみたけど難しすぎて諦めたと言う方。ぜひ私のチャンネルにお越しいただいて、「ベトナム語って案外どうにかなりそう!」と感じてもらえるとうれしいです。また、チャンネル内では、私がこれまで住んできたアパートの様子なども紹介していますので、気になる方はチェックしてみて下さい。
著者
Kaz
プロフィール
1970年生まれ
日系ベトナムIT企業現地採用ITアドバイザー
静岡県浜松出身
ベトナム語独学歴3年半
チャンネルのモットー
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【YouTube】https://www.youtube.com/c/ChannelKaz