年1回の健康診断習慣から考える、内視鏡検査の重要性

年1回の健康診断習慣から考える、内視鏡検査の重要性

 日本では、胃がんや大腸がんはいずれも発症頻度の高いがんとして知られており、いかに早期に発見し、治療につなげるかが重要な課題となっています。こうした状況は海外生活においても無関係ではなく、同様に意識しておきたい健康リスクの一つです。

 ハノイの食生活は、油脂や香辛料の強い料理、屋台やストリートフードなど、胃腸に負担をかけやすい条件が揃っています。さらに、言葉や文化の違い、不規則な生活リズムといった海外特有のストレスも、消化機能を乱す要因となります。胃もたれや便通異常があっても、「ただの疲れ」「生活に慣れていないせい」と考え、つい放置してしまいがちです。しかし、その背後には慢性胃炎や腸の病変といった病気が潜んでいることも少なくありません。そのため、血液検査や便検査だけでなく、消化管を直接確認できる内視鏡検査が、健康診断において重要な役割を果たします。

 一方で、胃カメラに対して「つらい検査」「昔は大変だった」というイメージをお持ちの方も多いかもしれません。しかし、内視鏡機器はこの数十年で大きく進化してきました。1950年代の胃カメラは、胃の中でフラッシュを焚き、フィルムに撮影する方式で、現像するまで結果が分からない検査でした。1960年代に登場したファイバースコープではリアルタイムでの観察が可能になりましたが、画像は網目状で、解像度は決して高いものではありませんでした。

 1980年代になると、CCDセンサーを搭載した電子内視鏡(ビデオスコープ)が普及し、モニターで多人数が同時に観察できるようになりました。画質も飛躍的に向上し、診断の精度も大きく変わりました。そして現在では、画質の高精細化に加え、血管や粘膜構造を強調して表示する観察技術、さらにはAIが病変検出を支援する段階へと進んでいます。

 臨床工学技士として機器に関わる立場から見ても、現在の内視鏡は「見る検査」から「見逃さない検査」へと進化していると実感します。また、スコープ自体の細径化も進み、検査時の負担を軽減する選択肢も広がりました。現在は、経鼻や経口、鎮静剤の有無など、検査方法を選べる時代です。

 近年、ベトナムでは医療人材の育成や教育体制の整備が進み、内視鏡医療に関わる技術や安全管理の水準が着実に向上しています。機器の性能向上に加え、洗浄・消毒体制や検査環境の整備も進んだことで、内視鏡検査は以前よりも安全で身近な検査になりつつあります。

 胃がんや大腸がんの発症リスク、生活環境の変化、そして内視鏡医療の進歩。これらを踏まえると、内視鏡検査の重要性はこれまで以上に高まっているといえるでしょう。健康診断は、異常が出てから受けるものではなく、異常が出る前に自分の状態を確認するための習慣です。年1回の健康診断に内視鏡検査を上手にとり入れ、海外での生活を安心して続けるための備えとしていただければと思います。

Point

海外の食生活と特有のストレスが胃腸リスクを高める

内視鏡は高精細化やAI化で進化し、安全性と診断精度が大幅向上

異常が出る前の検査を習慣化し、安心を確保することが重要

Info

Japan Green Vietnam Clinic
ジャパン グリーン ベトナム クリニック

奥 雅貴  臨床工学技士

臨床工学技士免許取得後、倉敷成人病センターにて約5年間勤務。内視鏡業務を中心に、手術室業務および医療機器管理業務に従事し、診療支援から機器の安全管理・運用まで幅広い臨床経験を積み、現在に至る。

住所    Lac Hong Lotus Building 1-N01-T5, Hoang Minh Thao, Xuan Dinh, Hanoi
電話番号  024-7300-0388(日本語可)
診察時間  月〜金曜 9:00〜12:00 , 13:00〜17:00、土曜 9:00〜12:00 *日曜休診
website   https://www.japangreen.vn/
Instagram  japangreen.vn

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