世界標準の打ち方で冬を乗り切るハノイ在住者のためのインフルエンザ予防

世界標準の打ち方で冬を乗り切るハノイ在住者のためのインフルエンザ予防

 2025年10月現在、ベトナム・ハノイでは小児を中心としたインフルエンザ感染が増加傾向にあり、都市部では一部の学校で休校措置も検討されています。ハノイでは熱帯性気候の影響で夏と冬の2回流行の波があり、日本よりも通年での予防意識が求められます。
 特に年末に向かうこの時期は、感染リスクが高まる重要なタイミングです。世界保健機関(WHO)やベトナム保健省は、生後6カ月以上のすべての人に対し、年1回のワクチン接種を推奨しており、在住邦人も例外ではありません。ワクチン接種により発症リスクは約60%減少し、万一かかっても肺炎などの重症化を防ぐ効果があります。副作用は軽微で、多くは接種部位の痛みや微熱が一時的に現れる程度です。
 さて、意外と知られていないのが、日本と海外における接種方法の違いです。日本では皮下注射が一般的ですが、ハノイを含む海外の多くの国では筋肉注射が標準です。この違いは、実は副反応の出方にも大きく影響します。皮下組織には免疫細胞が多く、抗原に対する反応が強く出やすいため、皮下注射では赤み、腫れ、かゆみ、熱感が起こりやすい傾向にあります。日本の厚生労働省も「皮下注射は局所反応が強く出る」と認めています。
 一方、筋肉注射は血流の豊富な筋組織に投与されるため、抗原が速やかに拡散し、局所の炎症が抑えられます。実際、日本の研究でも、皮下注射に比べて筋肉注射では痛みが約半分、腫れや赤みの頻度も有意に低いとされています。また、接種後のインフルエンザ発症率も筋肉注射群で約27%低く、予防効果も同等以上と報告されています。
 私自身、今年はすでに筋肉注射で接種を済ませましたが、以前の皮下注射では赤く大きく腫れて熱を帯びたのに対し、今回は1〜2日程度の軽い筋肉痛だけで済みました。これからの季節、世界標準のワクチン接種で安心して冬の感染ピークに備えましょう。

Point

ハノイでは秋〜冬がインフルエンザ流行のピーク。接種の最適時期は10〜12月。

海外では筋肉注射が主流で、副反応(腫れ・熱感)が皮下注射より軽いことが実証されている。

皮下注射は免疫細胞の多い皮下組織に投与するため反応が出やすいが、筋肉注射は安全で効果も十分。

Info

Japan Green Vietnam Clinic
ジャパン グリーン ベトナム クリニック

小林 慧悟 医師

呼吸器、アレルギー、感染症、総合内科の日本専門医機構認定の各専門医資格を保有。北海道大卒後、虎の門病院で研修、慶應義塾大学助教を経て医学博士を取得。シンガポール国立がんセンターでの勤務後にベトナム医師免許を取得し、現在に至る。

住所    Lac Hong Lotus Building 1-N01-T5, Hoang Minh Thao, Xuan Dinh, Hanoi
電話番号  024-7300-0388(日本語可)
診察時間  月〜金曜 9:00〜12:00 , 13:00〜17:00、土曜 9:00〜12:00 *日曜休診
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