帰国で感じる日越の違い
筆者が初めてベトナムを訪れたのは2017年、およそ7年前。最初はとにかく驚くことばかりでしたが、7年もの間、日越を行き来していると、ベトナムでの生活にもすっかり慣れてしまった一方で、久しぶりの日本帰国では逆カルチャーショックを受けることもあります。外から見た日本で感じる日本の良さと、日本に戻って改めて感じるベトナムの良さについてお話します。
日本で最初に感じること
日本に到着してまず感じるのは、気候の良さ、空気がおいしいことです。筆者が普段滞在しているハノイは、お世辞にも空気が綺麗とは言い難く、残念なことに世界で最も大気汚染が深刻な都市となっています。私は成田空港に到着し、都内を通って埼玉県の自宅に帰りますが、東京都内であってもやはり空気は綺麗だと感じます。(昭和50年代に、車の排ガスや工場の煙などで年中光化学スモッグ警報が出ていたのが嘘のようです。)水も喉が乾けば、公園の水道で渇きを癒すことができます。水道水がそのまま飲める国は、世界でも12カ国程度しかないそうです。飲料水が必要な時、蛇口を捻ってそのまま飲むことができる日本は本当に素晴らしい国だなと感じます。
空港についてから自宅に帰るまでの間に感じることはほかにもたくさんあります。まず、日本の自販機天国ぶりです。外を移動している時、ちょっと喉が渇いた時はどこにでも自動販売機があり、いつでもどこでも手軽に飲み物を購入できます。一方のベトナムでは、自動販売機は滅多にお目にかかれません。通貨がお札しかないことや、治安の問題もあるのかもしれません。また、ベトナムの自動販売機はお釣りが出ないことも多いので、ぴったりのお金を持っていないと買えないこともよくあります。
それから、帰宅途中の駅や電車の中、スーツケースを引きずって通りを歩いている間にも感じるのが、静かさと清潔さです。電車の中も、駅構内ですら静かですし、通りを歩いていてもクラクションが聞こえてこないので、本当に静かだなと感じます。また、通りにゴミが落ちていることもまずありません。一方のベトナムでは、歩道はお世辞にも歩きやすいとは言えませんし、スーツケースを引きずって歩くのが大変で、タイヤが壊れないか気を遣います。
もう一つ日本に帰ってきて強く感じるのが、これでもかと言わんばかりに丁寧な案内です。空港でも、駅でも、お店でも、ありとあらゆるところに案内板がありますし、案内の人もいて、迷ったり困ったりすれば即座に、丁寧に色々と案内してくれます。もちろん日本人で日本語が通じるので、楽なのはありますが、それにしてもやはり日本の案内やサービスの良さは帰国してすぐに強く感じる素晴らしいポイントです。
それから何もかもが時間に正確なこと。電車が数分遅れたからといって謝罪のアナウンスが入るのは、世界広しと言えども日本だけではないでしょうか。 長い滞在から戻ってきて感じる日本は、清潔・静か・丁寧・親切・時間が読める。現在は円安で多くの外国人が観光に訪れています。そんな人たちにも喜んでもらえて、日本のおもてなしを楽しんでいただけたらうれしいですね。
懐かしくなるベトナム
さて、そんな日本に戻ってきてしばらく滞在していると、逆にベトナムが恋しくなったりもします。先にお話しした日本の良さの裏返しで、日本は静かすぎて活気がないと感じてしまいます。ベトナムは筆者が都市部にいるからかもしれませんが、とにかく賑やか。元気に走り回っている子どももたくさん見ますし、お年寄りも笑顔が印象的です。
通り沿いには多くのカフェがそこかしこにあって、皆お茶を飲みながら会話に花を咲かせています。ベトナムはとにかくカフェがたくさんあります。道沿いのカフェなどはコーヒーやルーツティーが100円程度で飲めます。(SNS映えしそうな綺麗なお店はちょっとお高めで、300円を超えてきますが。)そのため自販機がなくても、そこらにあるカフェでコーヒーやお茶、フルーツティーやジュースも豊富にありますし、露店で売っている飲み物、サトウキビジュースなどで渇きを癒すことができます。
夜になるとビアホイと呼ばれる、ビアガーデンのような場所で、これまた多くの人たちが大声で賑やかに話しながら楽しく飲んでいます。とにかく賑やか!飲食店も個人の小さなお店が多く、お馴染みのプラスチックの椅子に座って食べるローカルフードは安くてとてもおいしいです。日本の飲食店というとチェーン店がほとんどですが、ベトナムでは、まだまだ家族経営の小さなお店や露店がメインです。書き入れ時となるお昼の時間帯などは、ちょっと怖いおばちゃんが殺気立ってお客をテキパキ捌いていたり、注文を忘れられて待ちぼうけになったり、最初はちょっと戸惑いますが、ベトナム滞在に慣れるとそれも当たり前になります。
こういったお店では、お箸やレンゲなどは、使う前に紙ナプキンでゴシゴシ擦って拭きます。食器類の洗い物は、店の前のタライに全部ぶち込んで、じゃぶじゃぶと洗っていますが、日本人の感覚からするとお世辞にも清潔とは言えません。というわけでお箸やレンゲは、気休めかもしれませんが、ネイティブも使う前にゴシゴシやるのが主流です。清潔に慣れた日本人にはちょっと抵抗があるかもしれませんが、たまにお腹を壊すぐらいで済みます。とにかく安くておいしいですし、お店もたくさんあって迷うぐらいです。ぜひローカルフードにもチャレンジしてみください。
ということで、筆者がベトナムで感じるイメージは、活気・成長・おおらかさ・自由です。清潔で発展しきってしまった日本にいると、ベトナムはやや窮屈に感じることがあるも事実。とにかく活気があるベトナムは日本の静けさとは対照的で、昭和のおじさんな筆者にとっては、懐かしく感じるポイントもたくさんあります。昭和な世代の方々には同感いただけることも多いのではないでしょうか。
著者
Kaz
プロフィール
1970年生まれ
日系ベトナムIT企業現地採用ITアドバイザー
静岡県浜松出身
ベトナム語独学歴3年半
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