ベトナム人の働き方

ベトナム人の働き方

ベトナムを訪れる理由は人それぞれで、旅行や出張、あるいは駐在などの長期滞在といった方々もいます。旅行を除いたケースでは、ベトナムの皆さんと仕事上の付き合い、共に働く場面が出てきます。日本とベトナムは同じアジアで、ベトナムも昔は漢字を使っていたり、お寺がたくさんあったり、似ている部分もたくさんありますが、やはり違いもたくさんあって、働き方にもその違いが現れます。筆者自身も約6年、ベトナムの皆さんと仕事をしてきて、最初は働き方や考え方の違いで戸惑うことが多々ありました。

ベトナム人からみた日本人

他の国での印象と同様、日本人は真面目でよく働くと思われています。遅くまで残業もし、妥協もしない。日本の製品は高品質で安全・安心という良い印象です。一方で、お世辞を言い、本音を言わない。仕事が第一という、マイナスの印象も抱いています。これらは働き方の違いにも現れてくるので、一緒に働いていく上で理解しておくと、要らぬ誤解やトラブルを避けて、仕事をより円滑に進めていく助けになります。

真面目で勤勉

ベトナムの皆さんもやはり勤勉で真面目に仕事をします。仕事が山のようにあっても嫌がる人は少ないですし、逆に暇になってしまうと、自分のキャリアアップにつながらないと考えて転職してしまう人もいます。優秀なスタッフほどその傾向が強いです。仕事をバリバリこなしてくれるのですが、ここにも考え方の違いからくる問題が発生します。一言で言ってしまうと、ベトナムの皆さんは日本人から見るとせっかちです。とにかくすぐ手を動かしたいので、準備もそこそこにすぐに作業を始めてしまいます。日本の場合は、「初めよければ終わりよし」とか「段取り八分、仕事二分」という言葉がありますが、後者についてはベトナムの皆さんをみていると完全に逆転しています。作業の早さが裏目にでて、作業はほぼ完了しているが、求めていたものと全く違う結果で取り返しがつかない状態に、ということもままあります。また、具体的な作業は得意ですが、抽象的な内容や、行間を読んで相手の求める結果を考えるのは、やや苦手な方が多いです。この辺りは後で述べる日本とベトナムの違いに起因している部分も多々あります。

働き方の違い

ベトナムの皆さんにとって一番大切なのは、家族との時間です。基本的には定時になるとキンコンダッシュで帰宅します。お金ももちろん大事なのですが、お金を稼ぐのは家族との時間を幸せに過ごすためなので、ワークライフバランスを重要視しますし、家族の意見も大きな影響を持ちます。業種や地域よってはだいぶ変わってきていますが、一般的にはベトナムで残業してもらうのは困難を極めます。代わりにバリバリ手を動かして、作業をどんどんこなしてくれますが、先に述べたように、準備もそこそこに始めてしまい、作業をやっつけることに主眼を置いてしまうことになりがちです。プロジェクトの終盤に来て大幅な手戻りなどの憂き目を見ないために、作業開始前に、伝えたかったことを理解してくれているかの確認と、作業の進捗確認が大切になってきます。進捗報告も、現場担当者に任せっきりにしてしまうと、プロジェクトにとって必要なことの進捗ではなく、単純な作業工数での進捗になりがちなので、80%と言われて安心していると、手戻りを含めて半分も終わっていないなんてことにもなります。

はっきり言わない日本人

先に述べたように、日本人はものをはっきり言わないと感じることが多いようです。確かにベトナムの人々は、相手が嫌がりそうなことや、日本人的には失礼に感じてしまうこともはっきり言ってきます。また、議論が大好きで、会議なども本筋と異なる部分で議論が白熱し長引きがちです。一見すると喧嘩になっていないか心配になることもありますが、ベトナムではこれが普通なので、その話題が終われば尾を引くことはありません。はっきり言うことの裏返しで、言わなくてもこれくらいはやってくれるだろうというのは通用しません。作業や仕事をお願いするときは、より具体的に説明する必要が出てきます。日本人的な考え方では、相手のことを第一に考えて、特に言われなくても、相手が望む結果を目指しますが、ベトナムでは自分の意思をはっきり口に出しますので、言われなかったことは不要なことになってしまうのです。日系企業の場合、これは変えていきたいと思うかもしれませんが、一朝一夕では変えられません。日本人にとって必要と思われることを全て指示していたら管理側はパンクしますし。スタッフも言われたからやっているだけになってしまい、言うのをやめたらまたすぐに元に戻ってしまいます。

互いの良いところを伸ばす

ここまでの内容だとこの先も苦労ばかりに思えてしまいますが、ベトナムの皆さんは勤勉ですし、日系企業で働く人の多くは親日、日本の製品や文化に憧れているといったケースが大半です。ただ一方的に、日本のやり方が良いからこうしろと言うのではなく、実際にそのやり方で、お客様が喜ぶところや、結果が出ることを見せていって、自然とそうしたいと思ってもらうのが一番です。ただしこれは信頼関係や時間を必要とします。私が、動画で紹介しているベトナム語の勉強は、信頼関係の向上が理由の一つになっています。またベトナム流の良いところとして、決断や行動が早い、馬力があるという長所があります。日本では決断や実行に時間がかかることも多いですが、ベトナムでは作業を頼んでいる目の前ですぐに電話をかけ始めるなんてこともあるぐらい行動は早いです。苦労も多いですが、日本と異なる環境で働くことはエキサイティングですし、ベトナムと日本、お互いの良いところが合わさって、より良い結果が出るように働けていければいいなと思います。

著者

Kaz

プロフィール

1970年生まれ
日系ベトナムIT企業現地採用ITアドバイザー
静岡県浜松出身
ベトナム語独学歴3年半
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【YouTube】https://www.youtube.com/c/ChannelKaz

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