
ベトナム軍事歴史博物館は、ハノイにある重要な博物館の1つとして、展示スペースを改修し2024年にリニューアルオープンしました。そこでは、過去のフランスやアメリカとの戦争について、そして祖国の防衛や建国の歴史に関する貴重な遺産資料が紹介されています。訪問者はベトナムの壮大な歴史を学び、独特な戦争モデルや軍事装備、武器を鑑賞することができます。
戦争に打ち勝った歴史を辿る世界的にも誇れる大規模な博物館
ベトナム軍地博物館は、戦後の歴史を伝承していこうと、関連遺物を1959年に一般公開されたのが始まりです。リニューアル後の遺物や資料は15万点を超え、訪れる人々に深い感動を与えています。

旧博物館の建設は1954年から始まり、1959年12月21日に正式に開館しました。リニューアル工事は2020年に開始され、2024年、ついにその扉が開かれました。なお、旧館は現在タンロン(Thang Long)城王宮跡内に統合され、さらなる歴史的価値を持つ場所として引き続き活用されています。
新軍事博物館は、ベトナム人民軍の創立80周年を記念して開館しました。地上4階、地下1階の構造で、建築面積は2万3198㎡に及びます。壮麗な「勝利の塔」
が建物の前にそびえ立ち、その高さはなんと45m。五角形の星型が何層にも重なっており、1954年にベトナム民族がフランスからの独立を勝ち取った歴史的瞬間を象徴しています。この壮大なシンボルは、ベトナムの誇りと自由の象徴として、訪れる者に深い印象を与えています。



住: Dai Lo Thang Long, Nam Tu Liem, Ha Noi
電: 0246-253-1367
営: 8:00~11:30/13:00~16:30
休: 月曜、金曜
料: ベトナム人2万VND/外国人観客4万VND
FB: Bao tang Lich Su Quan Su Viet Nam
01: 国家の樹立と防衛の始まり
ベトナム 人 による最 初 の 国 家 名 は「ヴァンラン(Van Lang)」と呼び、ベトナム民族の独立と防衛の時代の始まりを象徴する言葉として用いられています。建国当初から、ヴァンランは 現 在 の 中 国 に あった「マン(Man)」や「アン(An)」といった国からの侵略に何度も立ち向かってきました。
建国初期の時代は紀元前7世紀から紀元前2世紀まで、当時はフン王(Hung Vuong)とアンズオン王(An Duong Vuong)が統治していました。防衛の基盤が築かれた時代として知られており、精巧で堅固な城壁が作られたり、金属加工技術が進歩したり、鉄製の武器も登場。さらに、938年にはゴー・グエン(Ngo Quyen)がバクダン川で、現在の中国・広州近郊を統治していた南漢軍に大勝し、1000年以上続いた占領を終わらせ、ベトナム民族は新たな独立と独自の時代を迎えました。これらの歴史的な出来事は、ベトナム語と英語で詳細に紹介されており、外国からの観光客もベトナムの古代の歴史を深く理解できるようになっています。



02: ベトナムの独立した封建時代
ベトナムは939年に現在の中国に属する北方の封建国家から独立し、1858年のフランス植民地時代が始まるまで、数世代にわたり戦争と変革を繰り返してきました。この時期は外国との戦いだけでなく、国内の争いや分裂もあり、怒涛な時代として知られています。

939年、ゴー・グエンは南漢軍を白藤江で破り、ベトナムは中国の支配から解放され、独立を果たしました。その後も、ベトナムは外敵に対抗する一方、16世紀から18世紀にかけては、国内で内戦を経験し、最終的に北部と南部で分裂しました。最終的に北部と南部で分裂しました。そして19世紀初頭にグエン朝が成立し、南北の統一を試みましたが達成できず、国内の不安定さは続きました。1858年にはフランスがベトナムへ侵攻し、植民地時代が始まりました。


03: フランス植民地支配への抵抗
さまざまな時代の展示の中でも、1858年から1945年にかけての時代は、ベトナムにとって最も重要です。この時代はベトナムの独立を勝ち取るべく、困難で壮絶な闘争の始まりでした。



ベトナム民族の抗戦の歴史の中で、非常に重要で激動の時期でした。フランスの植民地支配の侵略やベトナム人民の抵抗だけでなく、ベトナム革命思想の形成にもつながり、その後の革命の成功へと導きました。展示室では、歴史的瞬間と偉大な人物たちを年代順に並べて紹介。戦争の遺物だけでなく、カンヴオン(Can Giuoc)運動やズイタン(Duy Tan)運動といった農民の独立闘争運動を映像でも再現され、当時の
熱い闘志と民衆の覚悟が鮮やかに描かれています。さらに、ベトナム独立の道を切り開いたホーチミン(Ho Chi Minh)主席の歩みや、ベトナム共産党の誕生についても深く理解することができます。
04: フランスに対する抵抗戦争
1945年から1954年にかけては、ベトナムの歴史の中でも特に重要な時期です。ベトナムの未来を決定づける重要な転換点となり、ベトナム民主共和国の成立へと繋がっていきます。



ベトナム社会主義共和国は1945年に成立しました。その後、ホーチミン主席は国民に対して全面的な抗戦を呼びかけ、その結果として、ディエンビエンフー(Dien Bien Phu)の戦いが始まりました。ベトナム軍がフランス軍の強固な要塞を包囲し、数カ月にわたる激しい戦闘の末、フランス軍を完全に打破しました。展示室のコンセプトは、この激しい抗戦の時代を再現し、戦争の生々しい場面や戦闘の緊迫感、写真や映像で決意を鮮やかに伝えることで、来館者に深い感動を与えることを目指しています。
05: アメリカに対する南ベトナム解放の戦い
1954年から1975年までは、ベトナムは激しい戦争と政治的な変動を経験した時期です。アメリカとの抗戦は、ベトナム史における二大戦争の一つであり、後世のベトナム人にとって誇りの象徴でもあります。この戦いは、独立と自由を求める闘いとして、今なお多くの世代に受け継がれています。


アメリカ軍の遺物も数点保管されている
ジュネーヴ(Geneva)協定によりベトナムは南北に分断され、北部は共産主義政府、南部は反共産政府が支配しました。南北の対立が深まる中、アメリカが南ベトナムを支援し、ベトナム戦争が勃発。戦争は約20年と長期化し、激しい戦闘が繰り広げられました。最終的に、北部が南部を制圧し、ベトナムは統一され、社会主義国家が誕生しました。戦争の厳しさと戦士たちの勇敢さを伝えるために、展示室では実際の武器や兵器、戦闘の様子を描いた写真、戦争の痕跡を伝える遺物が並んでいます。

06: 新たな国の建設と防衛
1975年以降、ベトナムでは北部国境の防衛戦争やベトナム東海での軍事化に対する闘争など、いくつかの抵抗運動が成功を収めました。今度は経済発展の時代へと突入し、現在のベトナムに至っています。

ベトナムはアメリカ軍を打倒した後、今度は中国から北部の領土をめぐる戦争が続き、加えてベトナム東海にあるホアンサ(Hoang Sa)諸島とトゥオンサ(Truong Sa)諸島を守るべく全力を尽くしました。同時に、ベトナムは戦後の復興に取り組みながら食糧生産を再建し、インフラの整備、交通手段の改善を行い、戦争の傷を癒しつつも経済発展に注力しました。また、他国との外交関係の樹立にも力を入れ、国際社会との連携を深めていきました。


まだまだある!見どころチェックポイント
期間限定の「武力組織と革命戦争」展
ベトナムは、革命戦争と武力組織をテーマにした美術創作活動を積極的に推進しており、革新と創造性を大切にしています。多くの作家が参加し、愛国心と民族的誇りを育む作品を通じて、現代のベトナムを守る精神を伝えています。


作家たちの創作活動を称賛し、優れた美術作品の制作を続けるよう奨励することを目的とした展覧会。経済・社会の発展や国防、公共の安全に貢献するだけでなく、武力組織の指導者や兵士、さらには一般市民、特に若い世代に対して、革命の伝統を引き継ぎ、愛国心と民族的誇りを育むことを目指しています。展覧会の運営者は、全国各地から644点の作品を集め、その中から代表的な200点の絵画、グラフィックデザイン、彫刻作品を厳選しました。なお、同展示会は2025年3月末で終了予定です。今後の内容については公式Facebookページなどで確認を。
戦争を象徴する巨大なモニュメント
博物館の外のスペースには、ベトナム軍がディエンビエンフーの戦いで獲得した飛行機や戦車など、多くの原寸大の遺物が展示されています。

