
ベトナム南部にあるカットティエン(Cat Tien)国立公園は、手つかずの自然を守る野生動物保護区であると同時に、ドンナイ(Dong Nai)省を訪れる若者たちに人気の観光スポットでもあります。青々とした緑に包まれ、多彩な見どころが点在する同公園は、他では味わえないユニークかつ魅力的な自然とのつながりを満喫できます。
生命に溢れた森の世界カットティエン国立公園へ
ホーチミン市近郊に位置する広大な熱帯の森。めずらしい野生動物や多様な植物が息づく同エリアでは、トレッキングやバードウォッチング、ナイトサファリなどが楽しむことができ、自然の魅力を全身で感じられます。都市の喧騒を離れ、静かな森の中で癒しの時間を過ごしたい人にぴったりなスポットです。

公園の概要
ホーチミン市からおよそ160kmの距離に位置し、ドンナイ省、ラムドン(Lam Dong)省、ビンフオック(Binh Phuoc)省の3つの省にまたがる広大な自然保護区で、総面積は7万1350haに及びます。ベトナムを代表する多様に満ちた生物の宝庫で、2001年にはユネスコの「生物圏保護区」にも認定。世界的にもその価値が認められています。
熱帯雨林の豊かな生態系を有し、園内には1600種以上の植物と1700種近くの動物が生息しています。貴重な樹木や巨木に囲まれ、希少な鳥や動物を観察できる理想の癒しの森であり、アジア象やガウル、東南アジアの虎、シャムワニといった動物たちが緑の楽園内で過ごしています。入場料は1人6万VND。澄んだ熱帯雨林の空気の中、心身ともにリフレッシュできる場所です。

住: Hamlet 5, Nam Cat Tien, Tan Phu, Dong Nai
電: 025-1366-9228
FB: Vuon Quoc Gia Cat Tien
URL: https://cattiennationalpark.com.vn

公園への行き方
ホーチミン市からであれば、バイクや自家用車でのアクセスも可能です。公共交通機関を利用する場合は、ホーチミン市12区のガートゥーガー(Nga Tu Ga)バスターミナルから、カットティエン国立公園の南側の入り口まで直行する長距離バスが運行しています。バス会社はベー(Be)、マインフン(Manh Hung)、キムホアン(Kim Hoan)などがあり、片道の運賃は1人約11万VND。時間帯は会社によって異なりますが、おおよそ5時40分頃から15時頃まで運行しており、所要時間は約4時間。手軽かつ快適に大自然の中へとアクセスできます。
森林を縦断するトレッキング
動植物の豊かな生態系を探索
園内で人気の高いアクティビティの1つが、熱帯雨林の中を歩くトレッキングです。冒険好きな旅行者に特におすすめで、多様な生態系を間近に感じながら、大自然の息吹を体感できます。園内では徒歩だけでなく、自転車(1時間3万VND/4時間10万VND)のレンタル利用や、バイクの持ち込み(1台10万VND)も可能です。



キャンプやピクニックも可
家族や友人と夜通しで楽しめるスポット
同公園内にある、キャンプなど宿泊体験施設も人気です。虫の音をBGMに、芝生の上で夜風を感じながら眠りにつく時間は、まさに自然と一体になれるひと時。自前のテントを持参すれば、キャンプ場の使用料は1人10万VND。4人用テントを1泊30万VNDでレンタルすることも可能です。


ハラハラドキドキ!
野生動物を見つけるナイトサファリ
園内の専用オープンカーでガイドとともに約6km、約50分間のジャングルトレッキングツアーもあります。草原や動物の生息地を巡りながら、暗闇の中でエサを探すシカやハリネズミ、ウサギ、イタチを見ることができます。季節や天候、そして少しの幸運があれば、ガウルやサンバールシカにも出会えます。ツアー料は4人以上のグループで1人18万VNDです。



園内を巡る際の重要なポイント
• 訪問時期は乾季(12月~5月)が最適
• 6月~7月は蝶やホタルが見られる
• 軽い長袖、滑りにくい靴を着用
• 帽子、薄手ジャケット、レインコートを持参
• 虫よけ、飲み物、おやつ、モバイルバッテリーを用意
• 単独行動は避け、係員の指示に従うこと
• ゴミは持ち帰る
• 動物には近づかない
見逃せない注目スポット4選

その1:トゥングの古木
トゥング(Tung)の巨木は、熱帯雨林を象徴する植物の1つです。巨大なサイズと壮大な姿、数百年の長い寿命で知られ、最も大きな木の樹齢は約400年を誇ります。土壌の固定や浸食防止、湿度の維持といった重要な役割を担い、自然環境の保全に欠かせない存在です。



その2:熊の救護ステーション
子どもたちに人気のスポットは、熊の救護ステーション(Tram Cuu Ho)です。事故などで怪我を負った熊たちが運ばれてきて、丁寧な治療を受けています。スタッフの献身的な世話により、救護ステーションの熊たちはとても活発で人懐っこく、訪れる人々でも安心して観察できます。学生も救護活動の現場を間近で見学でき、野生動物の保護や保全について学べる貴重な機会を作っています。



その3:神秘の湿地バウサウ
バウサウ(Bau Sau)は原生林に囲まれた湿地帯で、まるで水墨画のような幻想的な風景が広がっています。60種以上のワニが生息する以外にも、ベトナムおよび世界の絶滅危惧種に登録された貴重な動植物が存在します。また、ベトナム国内に9カ所あるラムサール(Ramsar)条約の登録地の1つで、国際的にも重要な湿地として知られています。
入域料は1人25万VND。国立公園の中心部から約14kmの距離にあり、うち9kmは車や自転車で向かい、残りの5kmは森林の中を歩いていきます。


その4:ベンクー
国立公園の中心部から約3kmのところに位置するベンクー(Ben Cu)の岩場は、ドンナイ川の川床に広がる大小さまざまな岩が川の流れを断ち切るように連なっており、小さな滝や流れを自然に生み出しています。水が岩の間を穏やかに流れる光景は、雄大さと詩情が調和した風景そのもの。ここでは、ピクニックや昼食を楽しむこともでき、大自然の中で心を癒すひと時を過ごせます。
