サークルグループ&遺産会館代表
チャン・タイン・トゥン(Tran Thanh Tung)さん
ベトナムの遺産を現代に伝える使命の下伝統的価値観を可視化し現代生活に応用
応用美術を通じて日本とベトナムの架け橋に
内外装デザインの仕事をしていた時、ベトナムの人々は伝統的な文化要素を家に取り入れたいという思いが常に存在し、社会が発展するにつれて美的感覚を重視するようになることに気が付いたんです。それを知って、精神的に癒される空間はもちろん、芸術的も価値のある住居環境作りを目指したいと考え、応用美術の世界に足を踏み入れてみようと「遺産会館」を創設しました。ベトナムの豊かな歴史と文化遺産を日常生活に持ち込むことで、より身近に感じてもらうことに貢献したいと考えています。
実は、日本の方と一緒に仕事をする機会が多く、2017年に日本の明仁天皇(現上皇)が来越した際は、チャン・ダイ・クア(Tran
Dai Quang)元国家主席が銀製の阿弥陀如来像などを贈呈。私はその贈呈品の制作に携わっていて、日越の友好関係を象徴するプロジェクトに参加できたことを今でも誇りに思っています。
直近では、2023年5月14日~20日にハナム(Ha Nam)省で開催された日越外交関係樹立50周年を記念する文化交流週間では、キービジュアルのデザイン、限定記念品のデザイン、ベトナム遺産の紹介などを担当し、両国の歴史や文化における共通点、そして
密接な関係を実感しました。私は、文化財の保存と継承に対する日本人の考え方を尊敬しています。コロナ禍の影響もあり、何度か日本を訪れる機会を逃してしまったので、次の旅先は間違いなく日本にしたいですね。
真の歴史を深く理解できる作品の展示会を開催中
遺産会館は、ベトナムの一流の歴史研究家を顧問に迎え、プロジェクトごとで活動しています。2023年8月現在は、ハノイ・ロッテタワー65階の展望台で展示スペースを設けており、「私の干支/Con Giap Cua Toi」、「李朝阿弥陀像復元/Du An Phuc Dung Tuong A Di Da Thoi Ly」などを紹介しています。また、ドンダー(Dong Da)区にある「ありがとうカフェ」の3階では、当館制作の李朝時代
の衣装を展示しています。観光客にも楽しめる内容で、SNSでも活動の情報を更新しているのでぜひチェックしてみてください。
ベトナムはまるでミニチュアの世界のように、極めて多様で豊かな文化、宗教、自然を持つ国です。私は、中古ベスパで7回もベト
ナム全63省&都市を旅しました。北部、中部、南部ともユニークな特徴があり、一度は訪れるべき場所ばかりです。特にベトナムの歴
史、文化、自然の厚みと豊かさを知りたい方には、タンロン遺跡、ベトナム国立美術博物館、国立歴史博物館、軍事史博物館、民族学
博物館、国立自然博物館などがおすすめです。
日本の皆さんは、ベトナムにいる間に現地の人とたくさんおしゃべりして、最高に楽しい体験と思い出を作ってもらえるとうれしいです。