ハノイの曇天と霧雨に物思う

4月を迎え、徐々に夏へ向けての気候変化が見られるようになりました。冬から春にかけては晴天の日がめったにないハノイ。すっきりとした青空が恋しくなる季節でもあります。今回はハノイを中心とした、北部におけるこの時期の気候について書いていきます。

晴れの日が少ない

南北に長い国土を持つベトナムにおいて、北部は四季があることが特徴です。ベトナムをよく知らない人は、東南アジアの国ということで南国のような気候を思い浮かべる人が多いですが、北部は一般的な南国のイメージとは異なる気候となっています。冬から春にかけては晴天の日が少なく、曇っている日が大半です。ちょうど旧正月がこの時期に当たるので、北部では正月を晴天で迎えるということがあまりなく、逆に晴れていれば年明けから幸先がいいと喜ばれます。

降り続く霧雨

北部では肌寒い冬が終わると、3月から4月にかけて夏に移り変わる準備が始まります。この時期は傘が必要ないぐらいの霧雨が続き、朝方は霧が立ち込めます。高層マンションにいると、朝方はベランダから外が何も見えないという状況になることもあります。また、気温が中途半端に低く、霧雨の影響で常に湿度が高いため、乾燥機がない家では洗濯物の生乾きに頭を悩ませます。他にも、カビが発生しやすくなるので、家の中で空気の循環が悪そうなところは要注意です。このような事象は、この時期の北部の風物詩とも言えます。中部や南部住まいの人々とは、中々共有できない生活環境です。

天気が良くなったら…

こんな感じで晴天に恵まれない日々が続きますが、4月も後半に入ると青空を拝める日が増えていきます。運が良ければ気温や湿度も丁度良く、最高の行楽日和を享受できますが、そんな時期も感覚的には一瞬で、まもなく東南アジア特有の高温多湿な夏が訪れます。空は青く、外に出たくなるような景色が広がるわけですが、暑さも強烈なのが難点です。夏のピーク時における北部の暑さは南部よりも厳しいと言われていますので、晴れた日の風景が最も美しいとされる世界遺産ハロン湾も、夏の時期に観光するには体力的に堪えるものがあります。

このように曇っている日が多い北部なので、ハノイの風景を頭に浮かべた時に、何となく晴天より曇っているほうがしっくりくるという方は私だけではないでしょう。北部は日本と同じく四季があると言われますが、同じ四季でもまた違った印象を受けるものです。

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著者

稲田 琢磨

SESSA VIETNAM CO.,LTD代表

プロフィール

ベトナムで7年ほど人材関連の仕事に従事し、2021年人事コンサルティング会社SESSA VIETNAMを企業。「人材紹介」「人事労務相談」「労働許可書取得代行」などのサービスを中心に企業、求職者向けの人事コンサルティングを展開。
日常でベトナム人を観察しながらベトナムの「なぜ・なに」を考えるのが日課となっている。座右の銘は「為せば成る、なるようになる」
【公式HP】https://www.sessa-jp.com

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