安全なお酒とは?

ベトナムではビアホイと呼ばれる大衆居酒屋を筆頭に、多くの店でビールが提供されています。ビールは全国各地に様々なブランドがあり、ベトナムのビール消費量は世界的にも高い位置付けです。一方で、ベトナムにも地酒があり、こちらは中国文化の影響が強い北部を中心に色々な種類の地酒が飲まれています。今回は、このベトナムの地酒にまつわるお話です。

地酒の度数

ベトナムの地酒は30~40度前後のアルコール度数で、ストレートで飲むのが一般的です。多くの日本人にとってキツイと感じるレベルですが、ベトナム人でも皆が皆飲めるというわけではありません。最近は若者の地酒離れが進んでおり、そういう意味では日本の若者のアルコール離れに似ているところがあるようです。ベトナムでは基本的に、お酒を割って飲むという習慣がないため、お酒があまり強くない人にとって地酒はハードルが高い飲み物ということなのでしょう。昔はそれでも飲むことを強要されるような場面がありましたが、最近はこの無理強いはよろしくないということで、飲みたい人が飲めばいいという感覚が根ざしてきています。

地酒にまつわるトラブル

地酒は白酒に色々なものを漬けて作り、各家庭で作っている人が多いです。酒造メーカーからも販売されていますが、自分で作ったもののほうがおいしいというのが共通認識です。地酒の基になる白酒は、個人で作っている人から購入することが多いのですが、身内や友人の紹介など信頼できる人から買うことが重要となります。というのも、よく分からない人から購入すると何が混ざっているか分からなかったり、最悪命にかかわるような粗悪品を売られたりすることがあるからです。メチルアルコールが混ざっていた地酒を飲んだことによる、失明や死亡事故のニュースは定期的に聞かれます。

どちらが安全?

白酒の購入元を間違えると怖い地酒。では、大手酒造メーカーが販売している地酒は安全なのでしょうか。これはどの基準での話かによりますが、命の危険や即座の悪影響というレベルでは安全と言えそうです。ただ、ベトナム人の間では、大量生産されている酒は質が悪いという感覚があるそうで、飲むと頭が痛くなりやすいと言います。一方の個人で作っているお酒は、長期で熟成させていることにより味が良く、悪酔いしにくいとのこと。つまり、信頼できる人から入手した白酒を使って、適切な方法で作った地酒が一番安全だと考えられています。ベトナム人の飲み会などで、自分で作った地酒をレストランに持ち込んでいる光景を見ることがありますが、これは自家製の味を皆に楽しんでもらう思いの他、安心・安全を保証する意図もあります。

著者

稲田 琢磨

日本国社会保険労務士有資格者

SESSA VIETNAM CO.,LTD代表

プロフィール

ベトナムで10年以上、人材・人事業務に携わり、現在は自ら起業した「SESSA VIETNAM(セッサベトナム)」にて、主に「人材紹介」「人事労務相談」「労働許可書取得代行」などの人事コンサルティングサービスを展開。日常でベトナム人を観察しながらベトナムの「なぜ・なに」を考えるのが日課となっている。ベトナム人妻と2人の子どもを育てながら、日越の二言語教育に日々奮闘中。
【公式HP】https://www.sessa-jp.com

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