ベトナム人の同居事情あれこれ

ベトナムでも核家族が増えてきたとは言え、両親と同居しているという家庭はまだまだ一般的です。
日本と違い独身でも一人暮らしというのは少ないベトナム。今回はベトナム人の同居形態について紹介します。

プライベートよりも寂しさが勝つ

学生や独身の社会人で田舎などから都市部に出てきている人は、誰かとルームシェアをしている人が多いです。これには経済的な事情が大半を占めますが、プライバシーやプライベートな空間を重視するよりも、1人は寂しいという気持ちのほうが勝つようです。それほど親しくなかったり初対面の人ともシェアすることもよくあり、SNSで同居者を募る書き込みも見られます。この辺りはベトナム人の他人との距離感をよく表しています。
 また、地方出身で都市部に住居を購入したような家庭では、田舎の親族を一時的に住まわせることもよくあります。例えば甥や姪が進学のために上京してきたときの下宿先になることもありますし、自分の兄弟姉妹、その他の親戚が就職で上京した際の仮住まいとしてしばらく身を寄せるということも珍しくありません。

避難場所としての同居

私の住むマンションには、夫婦と子ども2人から成る4人家族のお隣さんがいます。ある日、いつもより賑やかだと思い、開いていた玄関から中をチラッと見ると、同じような世代の夫婦と子ども2人の家族がいました。その時はきっと親族が田舎から遊びに来ているんだろうと思い特に気にも留めなかったのですが、1カ月経ってもまだいます。 同居しているのかなと思い、何気なく私の妻に聞いてみると、「妹さんの家族らしいけど、田舎で借金取りに追われて匿ってるんだって」とのこと。まあ事情が事情だけにあれですが、お隣さんは2LDKなので、そこで2世帯8人暮らしとは中々です。というか、そんなことを隣近所に平気で話すものなのかとも思いましたが、 同じフロアの住民は各家庭のプライベートなことでも結構ツーカーなところがありますので、彼らにとってはこれも大したことではないのでしょう。(その家族ももう大丈夫だろうと思ったのか、2か月ほど滞在して田舎へ帰っていきました。)

ちなみに、私の両親がベトナムに数日遊びに来るときはホテル滞在となります。そのほうがお互い気を遣わないで楽だという感覚なのですが、親が遠くからやってきたのに自分の家に泊めないでホテルに泊まらせるというのを、ベトナム人家庭ですると、よほど特別な事情がない限りはドライな親子関係だとみなされるようです。

著者

稲田 琢磨

SESSA VIETNAM CO.,LTD代表

プロフィール

ベトナムで7年ほど人材関連の仕事に従事し、2021年人事コンサルティング会社SESSA VIETNAMを企業。「人材紹介」「人事労務相談」「労働許可書取得代行」などのサービスを中心に企業、求職者向けの人事コンサルティングを展開。
日常でベトナム人を観察しながらベトナムの「なぜ・なに」を考えるのが日課となっている。座右の銘は「為せば成る、なるようになる」
【公式HP】https://www.sessa-jp.com

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