初めて知り合った相手が何歳なのか気になったという経験は誰にでもあるでしょう。しかし、日本ではそれを聞くタイミングを見計らったり、特に女性に対しては一定の配慮が求められたりします。では、ベトナムではこの辺りはどうなっているのか、今回はベトナム人に年齢を聞くことについて書きます。
年齢を聞くのは全く問題なし
ベトナムでは、初対面の人に年齢を聞いても全く問題ありません。これは男女どちらに対しても言えることで、ベトナム語に関する文化的な習慣が背景にあります。というのも、ベトナム語では「わたし」「あなた」にあたる一人称、二人称の言い方が自分と相手の年齢によって変わるので、言い方を確定させるために相手の年齢を把握する必要があるからです。また、年齢を知るような関係性に発展しない場合(例:たまたまその場に居合わせただけのような間柄など)で相手が同じ歳ぐらいの外見であれば、年上を示す二人称で呼びかけるのが丁寧だとされています。ちなみに、ベトナムでは年齢を伝える際に年齢ではなく生まれた年で答える人が多く、これは現在でも数え年で勘定している人がいることから誤解を生じさせないためと言われています。
自己紹介時に年齢を言う
カジュアルな場であればお互いのやり取りの中で年齢を確認し合うことができますが、大勢の前での自己紹介などでは自分の年齢を含めて発表することがよくあります。これは先述の通り、自分と相手との呼称を確定させるために必要な情報であるため、聞く側も関心を持っていることから最初にそれを伝えたほうが親切だからです。日本人がベトナム人に対して自己紹介をする場合、そのやり取りが日本語や英語でされる場合は呼称の観点で大した問題にはなりませんが、ベトナム語でやり取りをする場合には年齢を伝えたほうがその後の呼びかけがスムーズになります。
若く見られたいのは万国共通
ある程度年齢を重ねた人が、実年齢より若くみられてうれしいと思うのは万国共通です。女性であればそれは尚更でしょう。初対面でどちらが年齢的に上か分からない女性に対して年下を表す二人称「Em(エム)」を使うのか、あるいは年上を表す二人称「Chi(チ)」を使うのか。礼儀的な意味で言えば「Chi(チ)」が正解ではあるものの、実年齢より若く見えるという理由で「Em(エム)」と言われたと知れば悪い気はしないでしょう。一般的に、日本人はベトナム人の同年齢層より若く見られる傾向があるので、自分より年下の相手から年下を表す二人称「Em(エム)」で呼ばれることはよくあります。
著者
稲田 琢磨
SESSA VIETNAM CO.,LTD代表
プロフィール
ベトナムで7年ほど人材関連の仕事に従事し、2021年人事コンサルティング会社SESSA VIETNAMを企業。「人材紹介」「人事労務相談」「労働許可書取得代行」などのサービスを中心に企業、求職者向けの人事コンサルティングを展開。
日常でベトナム人を観察しながらベトナムの「なぜ・なに」を考えるのが日課となっている。座右の銘は「為せば成る、なるようになる」
【公式HP】https://www.sessa-jp.com