ベトナムの寺のようで寺でない建物

寺院への参拝はベトナム人、外国人問わず人気の観光コースとなっています。しかし、ベトナムには外国人にとって一見お寺のように解釈してしまいそうな種類の建物がいくつかあり、これらの区別は難しいです。今回は、よく混同されやすい3種類の建物について紹介します。

「Chùa(チュア)」

Chùaは日本のお寺の感覚に一番近い建物です。仏教活動や布教の拠点であり、僧侶などが集って修行をしたり、仏教を説いたりする場所とされています。仏教徒以外でも参拝したり、仏法を聞いたり、仏事に参加したりすることができます。ハノイにある有名なChùaとして 郊外にあるChùa Thầyが挙げられます。

Vinwonders

「Đền(デン)」

Đềnは、聖人や歴史上の人物を神として崇拝するために作られた建物です。仏教に関連する施設というよりは、実在した人物が神格化して祀られている施設と解釈することができます。日本語では一般に「祠(ほこら)」と訳されやすいですが、日本の祠のイメージとは若干異なるでしょうか。ホアンキエム湖にあるĐền Ngọc Sơnは、連日多くの観光客で賑わっています。

Thoidai

➂「Đình(ディン)」

規模的に有名な観光地にはなりにくいĐìnhですが、ベトナム人が暮らしている住居地域に足を踏み入れると必ず目にする建物です。Đìnhはその集落固有の氏神を祀る場所であり、日常的な参拝のほか、集落のイベントを催す場所として使われたり、子どもの遊び場となるなど、地域住民の憩いの場としての役割も果たしています。

これらはぱっと見での区別がつきにくい建物ですが、観光の際には何が祀られているのか、どのような使われ方をされているのかを意識すると分かりやすくなります。ちなみに、北部ではニンビン省にある「Chùa Bái Đính(バイディン寺)」や、ハナム省にある「Chùa Tam Chúc(タムチュック寺)」は、巨大なお寺として有名です。ただ、どちらもここ10年程度で新しく作られたお寺で、歴史を感じさせるような造りのお寺ではありません。観光客を意識したような造りになっているのは否めませんが、そのスケールは圧巻なので、機会があればハノイから足を延ばして一度訪れてみるのもおすすめです。

著者

稲田 琢磨

SESSA VIETNAM CO.,LTD代表

プロフィール

ベトナムで7年ほど人材関連の仕事に従事し、2021年人事コンサルティング会社SESSA VIETNAMを企業。「人材紹介」「人事労務相談」「労働許可書取得代行」などのサービスを中心に企業、求職者向けの人事コンサルティングを展開。
日常でベトナム人を観察しながらベトナムの「なぜ・なに」を考えるのが日課となっている。座右の銘は「為せば成る、なるようになる」
【公式HP】https://www.sessa-jp.com

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