
ベトナムと接する中国は歴史的にも衝突が多く、一昔前までベトナム人の中国に対する印象はあまり良いものとは言えなかったですが、ここ数年は風向きが変わってきているように感じます。同じ東アジアの国である日本や韓国も依然として人気ではあるものの、ベトナムにおける日常生活で中国を感じる機会が増えてきました。今回は日常生活における中国の存在について書きます。
第二外国語に中国語?
小学生の娘が夏休み中のサマースクールに通っていたときの話です。そこでのカリキュラムの一つに中国語がありました。英語以外の外国語教育として中国語が選ばれる時代が来たかという感じでしたが、関係性が良好であるならお隣さんの言語なわけで不思議ではありません。本屋でも外国語教育関連の書籍は英語に続いて日本語や韓国語が主流でしたが、現在は中国語の売り場面積が大きくなっていて、日本語や韓国語の面積が縮小されたように思います。

旅行者の増加
ベトナムに来る中国人観光客は年々増えています。もともと地理的に隣なので行きやすいということもありますし、ベトナム政府による外国人観光客の誘致政策、中国人の日本への渡航自粛に対する振替先といった要素もあるでしょう。街中でもこれまであまり見かけなかった中国人向けのサービスや中国料理のレストランなど、随分増えたように思います。かつては中国料理というと、ちょっといいレストランで食べるような部類でしたが、今後はリーズナブルで普段使いできるような店が増えてくる気配があります。
中国企業を志望する若者
私の職業柄、ベトナム人の履歴書を見る機会が多いのですが、中国語を学んでいるベトナム人が以前より増えています。今後中国との取引が増えていくから役に立つだろうという目論見や、中国企業での雇用を望んで学んでいるという人が目立ちます。かつての中国企業というと、それほど給与が高いわけでもなく、コンプライアンスの面でも懸念があるということで敬遠される話がありましたが、現在は金払いのいい会社も増えているということで、中国語を学ぶモチベーションの一つとなっているそうです。日本の会社は昔からコンプライスがきっちりしている点や、労働者をむやみに解雇するようなことがないということで好評でしたが、最近では給与面が他の外資と比べて見劣りするということで、かつてのような人気に陰りが見えているのが実情です。
ベトナムはどこの国とも付かず離れずでうまくやっているような印象がありますが、急速に経済発展している国にとってはそれが最適解のように思えます。将来的にこういった各国との関係がどのように移ろいでいくのか興味深いところです。

著者
稲田 琢磨
日本国社会保険労務士有資格者
SESSA VIETNAM CO.,LTD代表
プロフィール
ベトナムで10年以上、人材・人事業務に携わり、現在は自ら起業した「SESSA VIETNAM(セッサベトナム)」にて、主に「人材紹介」「人事労務相談」「労働許可書取得代行」などの人事コンサルティングサービスを展開。日常でベトナム人を観察しながらベトナムの「なぜ・なに」を考えるのが日課となっている。ベトナム人妻と2人の子どもを育てながら、日越の二言語教育に日々奮闘中。
【公式HP】https://www.sessa-jp.com

